やっとの思いで法人を設立し、定款や登記簿も出来上がりホット一息、でも設立後に提出しなければいけない書類がいくつか(いや割とたくさん)あるってご存知でした?

今日は「法人の設立後に必要な手続き」の第一回目のレクチャーです。

まず、法人設立後に提出しなければならない書類は大きく分けると2種類あります。

  • 税務署、都税・県税事務所、区役所・市町村に提出が必要な税務関連の書類
  • 年金事務所、労働基準局、公共職業安定所(ハローワーク)に提出しなければいけない社会保険関連の書類

この中で今日は税務関連の書類、特に提出することで様々な特典が得られる(つまり税金を安くできる)「青色申告の承認申請」についてご説明いたします。

税務関連の書類について

法人の状況(従業員の有無など)にもよるのですが、法人を設立後に提出する書類として以下があげられます。

1.税務署に提出する書類

  • 法人設立届出書★
  • 青色申告の承認申請書※
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書☆
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書※
  • 申告期限の延長の特例の申請書※
  • 棚卸資産の評価方法の届出書※
  • 減価償却資産の評価方法の届出書※

2.都税事務所又は県税事務所に提出する書類

  • 法人設立・設置届出書★
  • 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書※

3.区役所・市町村に提出する書類(①②は東京23区に設立した場合は都税事務所で処理済みなため不要)

  • 法人の設立・設置届出書★①
  • 異動届出書(法人税の申告期限を延長した場合)※②
  • 普通徴収から特別徴収への切替申請書☆

★すべての法人が提出しなければならない書類
☆給与を支払う場合に提出が必要となる書類
※必須ではないが提出することにより税務上有利になる書類又は状況により提出するか判断が必要な書類

え、こんなに。。。。って思う方もいらっしゃるかもしれません。★印以外の書類については、法人の状況によっては提出が不要な書類もあるのですが、すべての書類について「提出が必要か、不要か?」、又は 「提出した方が良いか?」を検討する必要があります。

★の書類については必ず提出する必要があるので、法人を設立したらすぐに提出してください。ちなみに、税務署に提出する「法人設立届出書」の提出期限は法人設立の日(設立登記の日)以後2月以内ですが、都税事務所に提出する「法人設立・設置届出書」の提出期限は法人設立の日以後15日以内となっているためご注意ください。

☆の書類については、給与の支払いを行う場合(役員への報酬のみの場合を含む)に提出が必要な書類になります。給与の支払いを行う法人がほとんどだと思いますので、基本的には提出が必要な書類になります。

※の書類については、必須ではないが提出すべき、又は提出した方がよいか判断が必要な書類になります。その中でも、最も大切な「青色申告の承認申請書」について、このあとご説明致します。

青色申告について

まず法人税の申告書を提出する際には、白色申告と青色申告の2つのパターンがあります。(なぜ白色とか青色と言われるのかというと、申告書の表紙が白色申告は白、青色申告は青、という理由からです)

そして青色申告を行うために提出する書類が「青色申告の承認申請書」なのです。もちろん青色申告を行わない場合には提出は不要なのですが、青色申告にすると税務上の様々な特典が得られる、つまり税金を安くすることが可能になりますので、提出することをお勧めします。

具体的にどんな特典が得られるかというと

  • 欠損金の9年間の繰越(今期の赤字を翌期以降の黒字と相殺して税金を安くできる制度)
  • 青色欠損金の繰り戻し還付 (前期が黒字で当期赤字が転落した場合に、前期に支払った税金の一部の還付を受けられる制度)
  • 雇用促進税制 (雇用者の数が増加した場合で一定の要件を満たす場合に、雇用者の増加1人あたり40万円の税額控除が受けられる制度)
  • 所得拡大促進税制(雇用者に対する給与の支給額が増加した場合で一定の要件を満たす場合に、増加した給与の10%の税額控除が受けられる制度)
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(30万円未満の減価償却資産を所得した場合に、取得価額を取得した期の損金に算入できる)
  • 推計課税の禁止、更正の理由の付記(白色申告だと税務調査の際に調査官に勝手に納税額を決められてしまう、青色申告だと調査官と戦える)

*上記制度の適用については各種要件がありますので、適用される際には税理士にご相談ください。

これら納税者に有利な多くの規定は、法人が青色申告を行っていることを要件にしています。

青色申告にするときちんと記帳しなければならない、という手間が増えるデメリットもありますが、事業を行う上で、きちんと記帳を行い、損益を正確に把握することは大事ですので、青色申告の適用をお勧め致します。

この青色申告を行うための「青色申告の承認申請書」ですが、法人設立の日以後3月以内に提出する必要があります(設立から3月以内に最初の事業年度が終了する場合には、事業年度終了に日までに提出)

まだ提出していない方!すぐに提出してください。

フォーマットはこちらです。

国税庁ホームページ([手続名]青色申告書の承認の申請)

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

書き方が分からない方は、税理士に問い合わせてもよいですし、実は管轄の税務署に聞きに行けばちゃんと教えてくれます。

会社設立後に検討する必要があるのは、届出書の作成だけではありません。役員給与の額をいくらにするべきなのか、適用可能な節税策はないのかなど、税務、会計、資金繰りなどの観点から総合的に検討すべき項目がたくさんあります。

サディウェルジャパン税理士事務所では、独立開業・起業された方に対するサポートを行っておりますので、お気軽にお問合せください。