みなさんこんにちは! サディウェルジャパンの伊藤です。

第三回目のレクチャーでは、個人事業主の開業費についてご説明致します。

独立開業を決めてから開業するまで、名刺を作ったり、広告宣伝用のチラシを作ったり、オフィスを借りたりと色々な出費が発生していると思います。

では、これらの開業前に発生した費用はどうすればよいでしょうか?もしかして開業前に発生した費用は経費にならない?

もちろん、そんなことはありません。開業前にかかった費用についてもちゃんと経費にすることができます。しかも、開業費に該当する場合には自分の好きなタイミングで経費にすることが可能です。

つまり、最初事業が赤字の時は経費にしないで溜めておいて、黒字になったタイミングで経費にして所得を減らす(=税金を減らす)といった使い方ができるのです。

では、どんなものが開業費に該当するのでしょうか。以下、開業費についてご説明致します。

どんな支出が開業費に該当するの?

開業費の例

  • 名刺の印刷代やデザイン代
  • 印鑑などの購入費
  • 広告宣伝のためのチラシ作成料
  • 打ち合わせのための交通費、会議費
  • 事務用品の購入費用
  • 開業前のオフィスの賃料や水道光熱費
  • 市場調査費
  • 書籍の購入費用

これらの費用については、もちろん初年度の経費にすることも可能ですが、開業費(資産)として溜めておいて、自分の好きなタイミングで経費にすることが可能です。

開業初年度は赤字になる場合も少なくないと思います。赤字の場合に経費を追加で計上しても税金は安くならないので、赤字の年度は開業費を使わず溜めておき、黒字になったタイミングで経費にして所得を減らす(=税金を減らす)というのが賢いやり方になります。

開業日っていつ?

では、いつが個人事業主の開業日になるのでしょうか?個人事業主にとって開業日とは、開業した後に税務署に提出する「個人事業の開業・廃止等届出書」に記載された「開業日」になります。

国税庁HP 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

この「開業日」ですが、法律上はっきりと定められていないため、自分が「この日にから事業を始めた」と決めた日が「開業日」になります。お店ですと店舗をオープンした日などを開業日にしている場合が多いようです。

いつまで遡って開業費に計上できるの?

税法上は特にいつまで遡って開業費にすることができるかは決められていません。そのため、事業開始の準備のために支出した費用だと説明することができれば、1、2年前の費用についても開業費とすることができます。

ただし、あまり昔に支出した費用だと、本当に事業開始の準備のために使ったものだと説明することが難しくなるので、事業開始のために使った費用だと合理的に説明できる費用を開業費とする必要があります。

開業費に該当しない支出

この開業費ですが、開業前に支出したものが全部開業費として認められる訳ではない点に注意が必要です。

開業費に該当しない支出の例

  • 10万円以上の固定資産
  • 敷金など将来返金されるもの

10万円以上の固定資産については、固定資産として資産計上をしたのちに、減価償却を通じて徐々に経費として計上されることになります。

また、敷金など将来戻ってくる支出については、そもそも費用には該当しないので、返金されるまで資産として計上をし、返金されたタイミングで取り崩すことになります(返金時も経費にはならない)。

今回は個人事業主の方の開業費についてご説明致しました。会社の場合には、開業前の準備費用が創立費と開業費に分かれ、また開業費として認められる支出の範囲も異なってきます。

開業してから税理士を探そうとしている方、開業前にかかった費用のレシートや領収書は捨てずに保存しておいてください!開業費として扱うことが可能です。

今日は知って得する開業費のレクチャーでした。

サディウェルジャパン税理士事務所では、独立開業・起業された方に対するサポートを行っておりますので、お気軽にお問合せください。